NDの乗り心地の急所はどこか
幌のNDにハイレートのバネを入れた場合、微振動が吸収しきれずすべてドライバーに返ってくる課題がある。おそらくフロント6㎏f以上、リア4kgf以上のバネを入れてるユーザーは乗り心地の悪化について、これはこういうものだろうと決めこんでしまって対処はないのではないか?と思っている方も多くいると思う。
乗り心地に起因する重要なポイントは以下だと思う。
- シートの上下動、ホールディング性
- シートの座面位置
- ダンパーの減衰力
- 根本的なバネレート
- タイヤ空気圧、タイヤグレード
純正バネのレートはとても柔らかいので、すべてが上質でどんなギャップも大きな衝撃がなく気持ちの良いドライビングフィールが得られる。ただどうしても車高が高すぎてダサい。。
今回のエントリーでは、とてもつらかった乗り心地を大幅に改善できたのでその手法をメモしておこうと思う。 前提として、バネレートを高めスタビリティを上げてしまったユーザーの参考としてほしい。
シートの重要性
NDロードスター純正シートは非常に人を選ぶ。特に腰のポジションが沈み込んでしまうクッションの弱さにあると思う。早々にレカロのSR-7やRS-Gなどのフルバケに交換したひとはこの問題に悩むことは無くなるだろうけど、次はフットペダルとハンドル位置に悩むのが常だと思う。今回はシートポジションについては議論の端においておくとして、端的にシート交換による乗り心地改善の効果を挙げておく。
シートによるあんこのクッション性能
- あんこが柔らかすぎるとボディの上下振動を人間の体、特に首や肩全体の振動につながり視線が大きくブレ乗り心地の悪さを体感する。振動の振幅が大きくならないようなシートを選んだほうが乗り心地がよく感じる。なるべく沈み込まない固めのものを選ぶほうがベター。
ホールド性能が高いほうが良い
- できればフルバケのほうがシートポジションが固定されることと、肩がシェルにつつまれて視線の上下振動の振幅が大きくならないためより良い。機能性だけでなく、振動振幅性を意識したシート選びは結構重要だったりする。
車高調ダンパーとバネレート
車高調は早くからオーリンズのBTOキットを装着していたが、現在のバネレートは8.9kgf/4kgfの設定。特にリアの4kgfは絶望的に乗り心地の悪化を感じるので、後述するボディ補強をやらないならば、もっとレートが低い車高調を選ぶほうが良いとおもう。いろりろなダンパー設定を乗り比べてみた感想では、オートエグゼの車高調が最も乗り心地がよいと感じた。
参考までに、いくつか市販のダンパーごとのバネレートを記載しておきます。
項目 | バネレート Fr | バネレート Rr |
---|---|---|
ND1.5 純正バネ | 2.26 kgf | 1.18 kgf |
ND2.0 RF純正 | 2.74 kgf | 1.48 kgf |
ND2.0 RF純正ビルシュタイン | 3.02 kgf | 1.67 kgf |
オーリンズBTO | 9 kgf | 4 kgf |
村上モータース ローダウンバネ | 3.5 kgf | 2 kgf |
テイン Flex z | 5 kgf | 3 kgf |
テイン mono sports | 7 kgf | 5 kgf |
HKS MAX IV GT | 4 kgf | 4 kgf |
HKS MAX IV SP | 8 kgf | 6 kgf |
クスコ Street Zero | 6 kgf | 3.5 kgf |
オートエグゼ Street Sports SUS.kit | 2.5 kgf | 1.3 kgf |
オートエグゼ ローダウンスプリング | 2.67 kgf | 1.44 kgf |
前述のとおり、エグゼの車高調=Street Sports SUS.kit がとても感触はいいので、ノーマルのボディのままであればベストバランスだと思う。ちなみに今のうちのNDの仕様はハイパコの8.9kgf/4kgfという設定。ダンパーはオーリンズBTO。
とにかくバネレートは下げたい。乗り心地にダイレクトに響くのでとくにリアのバネレートは下げたいのだが・・・ハイパコにはこれ以上柔らかいバネの設定がないので、レートがおちないというハイパコの特性はどうしても生かしておきたいため変えることもできず。
ダンパー特性のなかでは、オーリンズは伸び縮みどちらも素早く車体のポーズが決まる特性で、エグゼは柔らかく決まっていく。エグゼの特徴は純正単筒式の延長上にあるようにおもう。
こんな細かいはなしをここまで読み進めていただいてる方は以下のような悩みをもっているはず。
- 車高を下げたいがバネレートを上げないとホイールハウスへのタッチや、ダンパーのバンプタッチが気になる
- 柔らかいバネのゆったりとした船のような挙動はあまり好きではない
- バネレートが高いのでダンパーの減衰を調整しても突き上げ感が気になる。紙コップの飲み物をホルダーに置くのはきつい
この問題を若干緩和する手段は、タイヤのインチダウンと空気圧を下げるといった微妙な対応となる。あまりしたくないなぁというところ。タイヤについてはコンパウンドが柔らかいものを使いたいところだけど、グリップの兼ね合いや好きなブランド、メーカーのタイヤパターンによる依存もあるかもしれない。
なぜ乗り心地が悪いと感じるのか?
ここで改まって、乗り心地の悪さの根源はなにかを考えてみる。当然タイヤからの路面インフォメーションが不快な振動となっているからということになるのだけど、人が感じる不快な振動ってどういう状態なのかをよくよく振り返ってみた結果以下の条件が乗り心地の悪さを感じる要因になってるのではないか?といった仮定に至った。
- 視線がブレる。とくに上下方向に視線だけでなく、上半身、体全体が縦方向に振幅する
- 細かい振動がダイレクトにつたわってくるのが気になってくる。
- 細かい振動も縦方向の振幅度合いによるが、振幅が大きな揺れが乗り心地がわるいなぁと印象として気分が悪くなる大本になっている。
振幅が大きな揺れは、体、目でダイレクトに不快感を及ぼす。バルーンボールに座ってる自分を思い起こしてほしい。バルーンボールにすわってるのに誰かが体やボールを揺すってくると非常に不快だ。とくに縦方向の振幅幅が大きいからじゃないかなと思う。
また、オフィスチェアに座っている自分を思い起こしてほしい。誰かが背中からオフィスチェアに当たってきたり揺らされるととても不愉快な感じを受ける。これもちょっとこすったとかではなく、微振動じゃない振幅によるものではないか?と考えた。
なぜ振動するのか?を改めてよく考えてみる機会があった。偶然知人のNDでボディ補強をしたところ乗り心地が非常に改善したという報告を受けたので何が効いたのかを仮定を含めて考えてみた。
ボディ剛性の定番といえば
- フロントタワーバー
- リアタワーバー
- アンダーブレースバー
- ロールケージ
- スポット増し
これらを踏まえて検討したのが、、、、
リア剛性が低すぎるため、アッパーマウントからの突き上げがボディに勝ってしまうから乗り心地がクソ悪い
つまり、ボディが全体でたわむため、乗車人の振幅幅が大きくなるのでは?
車高調を入れたNDには乗り心地にボディ補強が抜群に効く
NDはアルミを多用しつつ、590Mpaの高張力版をたくさんつかっている贅沢なシャーシの作りをしてる。ざっと資料をみてるかぎりは、アッパーマウントのパーツはフロントが590Mpa、リアが440/390Mpaの高張力板の模様。図示されているものをみるかぎりでは、NCのときよりも格段に剛性はあがってるし、スタビリティ全体はよくなってるはずだが・・・
リアアッパーマウントの構造の問題か、実際は390Mpa以下の高張力板なのか?わからないけどこのあたりにハイレートのバネをいれたときの乗り心地の悪さの秘密があるのかもしれない。
フロントタワーバーを入れる場合は、バネレートをあげてないならあまり意味がないかもしれない。フロントはわりと剛性があるように感じるので、標準バネのままタワーバーをいれるとノーズの入りが若干悪くなるように思う。NDの場合レバー比の関係で、フロントのバネレートは高めの設定なので、古い旧道など路面のアンジュレーションが強い場所、ひどい路面環境だとハンドルまでわかるように振動するが、リアのハネやダイレクトな振動よりは不快には感じない。
リアタワーバーを入れる場合は、ちょっと気になったことがあって、なぜかオートエグゼだけはトランクのブレースバーを設けている。なぜこんなことになってるのか???
トランクキャリアごと捻じれるのか?おそらくタワーバーだけでも効果があるけど、ブレースバーをいれればより効果が高いものと想像できる。こういった補強キットがオートエグゼからでてくるということは何かしら理由があるとは思うのだが・・・
というわけで、リアタワーバーも非常に重要であるだろうと想像がつく。
最後に、ブレースメンバー。これはボディシャーシのアンダー剛性を高めてよじれていくこと自体を防ぐことができる。
実際どれが一番効いた?
一番効いたのはやはりリアトランクのブレースバー、リアタワーバーだ。特にフロント9kgf近いバネレートがはいってるうちの車両では、フロントタワーバーも効果的だった。振動の変化は、確実に縦方向の振幅がへって、路面インフォメーションから粗さがとれ、しっかりとボディ、シャーシが路面の突き上げを受け止めている感触が得られた。
車高調をいれ、バネレートを上げているNDオーナーはぜひ試してみてほしい。NDのボディ補強は乗り心地に有効的に働く。これはスタビリティの観点でしか普段みない剛性力アップパーツの違った視点だとおもう。
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